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3月20日付の産経新聞の第1面に掲載された台北支局長・山本勲氏のコラム「【東亜春秋】深化する台湾の歴史認識」は戦後生まれの台湾人の日本統治時代に関する認識が、NHK「JAPANデビュー」が強引に描こうとした、台湾人の反日的な歴史観とはまったく次元が異なる、理性的で穏やかなものであることが分かります。

NHKは台湾人を反日と強調していましたが、NHKが反日なだけなのでしょう。台湾人は一般的にNHKや中国のように、歴史の政治利用には興味が希薄です。

ただ、コラムの最後にある<台湾では「台湾人か、中国人か」という自らのアイデンティティーや、「中国との統一か独立か」をめぐる対立が続いてきた。台湾主体の教育がさらに浸透、定着し、こうした対立を超克する時代が一日も早く訪れるよう願ってやまない>という部分には、違和感があります。これを「超克」して、一体何があるのでしょうか。

台湾の住民が「台湾人」と自分を認識し、「中国との統一」から免れることができるようにするために行われてきたのが「台湾主体の教育」なのです。「中国人」と自称して「中国との統一」を求める人々が台湾人意識を持って、初めて「対立」は解消へと向かうのです。

しかし山本勲氏の台湾人に対する深い理解力には、感謝したいと思います。これからも台湾の本当の姿を、どんどん日本の読者に伝えていただきたく思います。

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【東亜春秋】台北支局長・山本勲 深化する台湾の歴史認識

2010.3.20 03:18
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100320/chn1003200319000-n1.htm

複雑な台湾の歴史を総合的、客観的にとらえ直し、街造りや地域振興に生かそうとの動きが台湾で広がりつつある。台湾はオランダ、清朝、日本、中華民国と統治主体が入れ替わり、民族集団ごとに歴史認識や価値観が大きく異なる。しかし李登輝政権時代に始まった台湾中心の歴史教育が浸透するにつれ、戦後世代を中心にこうした動きが強まってきた。この変化が今も続く台湾内の激しい政治対立を乗り越える契機となるよう期待したい。

台湾東北部の宜蘭県員山郷で、太平洋戦争期の日本軍や地元民の活動を紹介する記念館が来月中にも完成、オープンする。宜蘭は日本統治時代に西郷隆盛の息子、西郷菊次郎が県知事を務めたことなどで、日本とのゆかりも深い。木造の長官邸など多くの日本時代の建物が大切に保存されている。

太平洋戦争では特攻隊の基地となり、沖縄戦では90機余りの陸・海軍の特攻隊機がここから米艦攻撃に飛び立った(台湾・東海大学の蘇睿弼助教授の研究による)。米軍の空襲から飛行機を守るための掩体壕(えんたいごう)や、通信指揮所などの軍事遺跡も数多く残されている。

戦争記念館は員山郷にある掩体壕をドーナツ状に囲む形で建てられた。館内には清国が台湾を日本に割譲した1895年から終戦までの年表や、出撃前の特攻隊員の写真、軍事施設建設に動員された地元住民の多くの証言や地図などを展示。当時を彷彿(ほうふつ)とさせる。

若き特攻隊員を見守った地元民の証言は哀惜に満ちている。出征前の特攻隊員が母親から「これが今生の別れなら、(亡き後は)白い蝶々となって会いに帰ってきておくれ」と告げられた、といった話も数多く残されている。

記念館建設に奔走した建築デザイナーの黄聲遠さん(47)は掩体壕を取り壊す計画を新聞で知り、県長に直談判するなどして10年がかりで完成にこぎつけた。

蒋介石・蒋経国時代の歴史教育はもっぱら中国大陸の歴史で、日本時代を含む台湾史はほとんど教えられなかった。

日本とかかわりの深い郷土の歴史を「広い心で、ありのまま理解する場を作りたい」と黄さんは考えた。さらに「宜蘭各地に散在する軍事・文化遺跡を自転車道でつなぎ郷土理解や観光誘致に役立てる」(同)構想もある。

これに先立つ昨年8月、台北市が南西部の剥皮寮(ボーピーリャオ)という地域の昔の町並みを復元して人気を集めている。

清朝時代から木材の集散地として栄えたこの地域には、清朝、日本時代の町並み、建築物が混在、並存している。日中台混合の風俗文化を生かしたところが魅力だ。日本時代の小学校の教室も再現して往事をしのばせてくれる。

2つの試みはともに10年前から始まっている。李登輝政権下で1990年代半ばから始まった台湾中心の歴史教育が浸透したことが大きい。この結果、若者の台湾人意識や郷土愛が強まった。

新教育は日本統治のプラス面にもかなり光を当てているから、本省(日本統治時代から台湾に住む漢族)と外省(戦後中国から渡来した漢族)という省籍にかかわらず、若者の対日感情はいい。

台湾では「台湾人か、中国人か」という自らのアイデンティティーや、「中国との統一か独立か」をめぐる対立が続いてきた。台湾主体の教育がさらに浸透、定着し、こうした対立を超克する時代が一日も早く訪れるよう願ってやまない。

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