外国人客、台湾ほぼ一色 北陸の温泉地 「中流層多く、親日的」 中国「皆無に等しい」

 北陸の温泉地を訪れる外国人客のうち、台湾からの旅行者がずば抜けて多いことが、主要旅館の調べで分かった。100%近い旅館もあり、海外からの宿泊客は台湾人ほぼ一色となっている。一方、中国人客は定期便があるにもかかわらず、皆無に等しいという。大手旅館は自社で台湾チャーター便の誘致に動いており、台湾人客の取り込みが、長引く温泉不振から抜け出す鍵を握っている。

 北陸の温泉旅館で台湾人客が最も多いのは加賀屋(七尾市)で、三月末までの今期見込みで約一万八千人。前年の一万五百人からさらに伸びた。「台湾以外の海外客はほとんどおらず、中国はゼロ」という。

 ホテル百万石(加賀市)も外国人宿泊客の八―九割が台湾人客で、中国人客はほとんどいないとする。芦原国際ホテル美松(あわら市)も台湾が多く、韓国が二―三割、中国は一割以下にとどまる。「狙い目は台湾。打てば響く」(同ホテル)という声が多い。

 台湾人客が多い理由について、旅館関係者は「台湾の人は親日的で、日本文化へのあこがれが強い」と口をそろえる。「中国は富裕層と貧しい層で二極化し、富裕層の目は欧州や南国リゾートに向いている。台湾は中流層がほとんど。しかも、親日のため、誘客がしやすい」(加賀屋)との見方も出ている。

 小松市の粟津温泉にある伝統工芸などの体験施設「ゆのくにの森」は、二〇〇五年の外国人利用者が前年比66%増の一万九千二百人に伸び、うち台湾人客が一万三千七百人と七割を超えた。

 二位は韓国の四千二百人、三位は米国の九百八十人で、中国人客はわずか九十人。ゆのくにの森は「台湾の観光客は温泉と雪を好む。中国人は日本に来ても東京、大阪に足が向くようだ」とみている。

 実際、高い雪壁で人気の立山黒部アルペンルートに昨年訪れた外国人客七万三千人のうち、台湾人客が六万四千人と87%を占める。同じ富山の宇奈月温泉では台湾からの団体ツアーが増えているのに対し、中国のツアー客は皆無という。

 同温泉旅館協同組合は「台湾人客が希望する宿泊料金は八―九千円で、中国人客は六千五百円ほど。台湾は団体なら採算ラインに届くが、中国は難しい」とする。

 北陸の温泉地からは、台湾人客誘致のインフラとしてチャーター便や定期便を求める声が強まっている。自社でチャーター便を誘致する加賀屋は、三―六月に能登空港と台北を結ぶ路線を中心に週三便(計四十五便)を計画し、集客を図る。

 一方、加賀温泉郷協議会は二十三日、海外からの誘客を進める組織を発足させる。「台湾人客は自然体でも増えている」とし、主に韓国からの温泉、ゴルフ客を狙う。韓国からの観光客に対する査証(ビザ)免除の恒久化が検討されており、「実現すれば追い風になる」とみている。

 国際空港のない福井県の芦原温泉では、小松空港の台湾便誘致への期待が高まっている。台湾での日本ブームに乗れるかどうかが、温泉地の集客力を左右する展開となりそうだ。

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