永山英樹

■中国の「本性」を知り始めた日本人  

内閣府が十二月十八日に公表した「外交に関する世論調査」によると、中国に「
親しみを感じない」との回答は前年比で一九・三ポイント増の七七・八%に達し
、七八年に調査を開始して以来最悪。「親しみを感じる」人は前年比でほぼ半減
の二〇・〇%と最低だった。

日中関係を「良好だと思わない」との答えも前年より三三・四ポイント増で八八
・六%に及んでいる。

調査は十月二十一~三十一日に実施された。外務省は対中感情の悪化の原因とし
て中国漁船の体当たり事件を挙げているが、そのとおりだろう。中共政権の理不
尽、横暴な「本性」を見せ付けられた以上、良識あるものなら「親しみ」を抱け
るはずがない。

そしてこれは日本の国にとってはすばらしい傾向だ。なぜならこれほど国民があ
の国の「本性」を知り、騙されにくくなったことを意味しているからだ。騙され
ていつの間にか、あの国の影響下に引きずりこまれてきたのが従来だから、これ
でいいのである。

■台湾、香港、中国のメディアも報じた反中感情の高まり

この調査結果には台湾、香港、そして中国のメディアも関心を持ったようで、速
報されている。

香港のリンゴ日報は十八日に都内で実施された「頑張れ日本!全国行動委員会」
の尖閣侵略糾弾デモの写真を掲載しながら伝えていた。迫力ある日の丸デモ行進
は中国への怒りそのものを表しているから、そうしたのだろう。

一方新華社に報道はもっと迫力があった。何と陸海空自衛隊の写真を掲げていた
からだ。それは新防衛大綱が中国への警戒感(反中感情)を示すものだからだ。

香港の御用メディア、中国評論新聞社は「なぜ日本人は中国に親近感を持たない
のか」と題する論評を掲載した。

ちなみに、そこに載る写真も「頑張れ日本」のデモのもの。「日本東京では今年
大規模な反中デモが行われ、中日関係は歴史的氷点に入った」との、センセーシ
ョナルなキャプション付きだ。

論評によれば、日中関係を夫婦関係に例えると、これまでの調査で「親しみを感
じる」が六―八割を占めていた七八~八八年は蜜月期で、五割前後だった八九~
〇三年は観察期、〇四~一〇年は冷戦期となるのだそうだ。

■香港メディアが分析する日本人の対中感情

それでは日本人の中国への不親近感はどこからくるのか。論評はまず「国家的実
力の変化」の影響があるという。

―――蜜月期では中国は政治大国(政治強国ではなかった)で、日本は「経済強
国」だったため、両国の民族主義はまだ抑制されていた。しかしその後、中国経
済は急速な発展を遂げ、日本経済は「失われた十年」を味わい、一〇年には中国
はGDPで日本を越えた。居安思危(安全な中でも危機に備える)の習慣を持つ
日本人は、自身も大国を目指す必要性を感じ、両国の政治的な摩擦は避けにくく
なった。

それから「中国人の作法が嫌い」。

―――日本人は中国人がいつも歴史問題を持ち出すが、首相の靖国参拝と中日関
係は別のことだと考えている。反日デモで日本大使館などを襲撃しながら、中国
が謝罪しないのを見て、中国人はやり方が不合理で、国際的なルールを守れない
民族だとの印象を持った。

「日本メディアが中国の欠点を誇張する」ことも原因だそうだ。

―――〇五年の反日デモは日本のテレビ各局に報道され、中国人は暴力的で反日
との印象が日本人に植え付けられ、中国への親近度は三二・四%にまで落ちた。
〇八年にさまざまな「破氷」の動きが見られ、両国関係は好転するところだった
が、日本のメディア各社は懸命に毒餃子事件を報じ、中国食品と中国への好感度
は谷底へと転げ落ちた。

―――ある日本専門家は「一部の政治家の不当な言動が中国の民衆の対日感情を
刺激するが、とくに大学生が不満を表明するとき、それが日本の一般的民衆に矛
先を向けるものだと誤解させてきた。また一部の民衆は右翼メディアの誤導によ
り、中国の抗議は日本の内政への干渉だと誤解している。こうしたことも対中親
近度調査の結果に影響しているのだ」と指摘する。

■中国が日本のメディアを統制したがる理由

そして「結論」としては、

―――中日の相互不信の根源は、相手国の情報が正確に伝わらないことにある。
そこで深く相手を理解することが必要だ。

日本の世論を騙し、籠絡し、取り込み、平穏裏に支配下に納めたい中国側として
は、やはり日中の摩擦というものを懸念しているのがわかる論評だ。

しかし日本人の反中感情を一気に高めた肝心の軍事的脅威、覇権主義的外交姿勢
に一切触れないのはおかしな話だ。「中国脅威論」の否定に力を注ぐ国だから当
然だとしても、これを語らなければ、何の意味もない。とにかく「日本人は中国
を誤解している」と強調するのみだ。

そしてそのために行使する宣伝が「日本メディアが中国の欠点を誇張する」だ。

中国政府が日本のマスコミ各社に対し、日中関係の促進に有利な報道を行うよう
求めつづけるのもこのためだ。要するに中国の「悪しき実態」を隠蔽しながら、
日本国内の世論を操縦せよと日本側に要求しているのである。あたかも国内の御
用メディアに命令するかのように。

ここまで求められれば、メディア各社もそうした情報統制を受け入れざるを得な
くなる。「一部の民衆を誤導」する「右翼メディア」というものが日本にあるら
しいが、あの国から「右翼」と指弾されないメディアは、よほど向こうに従順な
報道姿勢を示しているのだろう。

■中国の「宣伝」を跳ね返す力を持つことの重要さ

民主党政権が日中関係を悪化させないため、海保撮影の中国漁船のビデオの公開
を拒否し続けるのも、実はこのためだと思わざるを得ない。つまり中国側の要求
に従い、あの国の「本性」「悪しき実態」を覆い隠そうとしているのである。

このように日本人はこれまで、こうした中国の間接的な情報統制下に置かれ、中
国の実態を知りにくい状況に置かれてきた。だが繰り返しになるが、近年は徐々
にあの国の実態が認識されつつあり、その結果として中国に「親しみを感じない
」との回答数値の向上があるのである。

暴力立国である中国の政権を支えるのは「暴力」だけでなく、その「暴力」を隠
蔽し、あるいは正当化する「宣伝」というものもあるが、その危険な「宣伝」を
跳ね返す力を日本人が高めているのだから、とりあえずは一安心である。

日本があの国の「暴力」に対抗するために求められるのは軍事力だか、「宣伝」
に対抗するのに必要なのは正確な中国認識と、それに基づく反中国感情なのだ。

日本人はそれなりに、中国への抵抗力を備え始めた。そうしたことを思わせるの
が今回の調査結果だった。

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台灣之聲

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