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■日本は台湾の軍隊に守られている  

戦後日本人が「水と安全はただ」だと誤解しているのは本当だ。中国覇権主義から日本存立の命綱であるシーレーンを守ってくれているのが台湾の軍隊だとの現実に目を向ける者はあまりいない。

ところがその台湾を、中国は併呑しようとしている。そして「台湾は中国の一部」との作り話で、その侵略行為を正当化している。そして多くの日本人も、その作り話を鵜呑みにしている。

これが中国の宣伝工作の凄いところだが、この作り話が生まれた歴史的経緯を見よう。

大東亜戦争の終結を受け、マッカーサー連合軍総司令官は昭和二十年九月、各国軍隊に各地の日本軍の降伏受け入れを命令した。日本本土と南朝鮮へは米軍が、北朝鮮と満州へはソ連軍が、中国と北部仏印へは「蒋介石の軍隊」(中華民国軍のこと)が進駐せよと。

では台湾はと言うと、これも中華民国軍の担当となった。かくして十月に進駐が行われたのだが、このとき中華民国は台湾の領土編入を宣言してしまった。この終戦直後のドサクサに紛れての「泥棒」行為に日本の台湾総督府は、「領土割譲は講和条約によるべきではないのか」と戸惑ったが、敗戦国につき何も言えなかった。

ところが昭和二十四年、国共内戦の結果として中華人民共和国が成立。中華民国政府(国民党政府)は占領中の台湾へ亡命した。

そこで中華人民共和国は、中華民国は滅亡した以上、その「領土」である台湾の統治権も継承したと言う主張が生まれた。一方国民党は、台湾を「領土」としている以上、滅亡していないと主張している。

かくして「台湾は中国の一部」との嘘の宣伝は国共両党によって世界に発信され、日本人もそれに騙された。今日でもそれは「台湾人の台湾」に反対する両党の合言葉になっている。そして中共に勝ち目がないと知っている国民党は、台湾を中共に献上するかのような中国傾斜路線を突き進んでいる。

これは日本にとっても極めて危機的な状況である。

■台湾は昭和二十七年まで日本の領土だった

連合国が台湾の最終処分を決めたのは昭和二十六年。この年調印されたサンフランシスコ講和条約によってだ。それに基づき日本は台湾の主権を放棄することになったのだ。放棄すると言うことは、条約発効の同二十七年まで日本が台湾を領有していたと言うことだ。

これは台湾は中華民国のものにも、中華人民共和国のものにもなっていなかったと言う証である。そして各国がその事実を認めていたことにも注目したい。

日本は台湾を放棄したが、新たな帰属先は決められなかった。つまり台湾の法的地位は「未定」となったのだ。しかし中華民国亡命政権の台湾支配は継続された。だがもちろんそれは不法占領と言うしかない。

たしかに日本はその翌二十七年、台湾にある中華民国と講和条約(日華平和条約)を締結している。当時すでに「中国政府」を名乗るものが二つあったため、「中国」はサンフランシスコ講和会議に招かれなかった。そこで日本は講和の相手としていずれかを選ぶことになったのだが、米国の圧力を受け、領土すら持たない中華民国を選んだのだが、だからと言ってその台湾領有を認めたわけではない。その政府に台湾を割譲などしなかったのだから、認めようがなかったのだ。

承認したのは中華民国政府が中国を代表する政府であると言うことだけだった。

その後日本政府は中華民国への配慮から、そして昭和四十七年に「政府承認」先を中華人民共和国に切り替えた(日中国交樹立・日華断交)後はそこへの配慮から、「台湾の地位未定」を口にして来なかった。そのため日本人は易々と「台湾は中国の一部」の宣伝を受け入れてしまった。

安全保障上、日本人はこれでいいのかと言う問題だ。

■台湾の地位は未定—「真実」を台湾人に教えた日本大使

ところが、である。今年五月に斎藤正樹・交流協会台北事務所長(駐台大使に相当)が台湾での講演で「台湾の地位は未確定」と発言したのだ。

「言ってはならないこと」を言ってしまった。何しろ国民党の台湾統治の非合法性を、あるいは中共の台湾併呑の不法性を暴露してしまったからだ。

もちろん国民党政府は猛反撥した。そしてこの「日本大使」ボイコットを行い、今に至っている。もちろん中共も日本政府に強い抗議を行った。

斎藤氏は「個人の見解だった」として陳謝せざるを得なかった。これは本国の指示に従ったものと言われる。

一方、国民党のヒステリックな反応に、台湾ではかえって「台湾の地位未定」との認識が広く持たれるに至った。かつての国民党による政治宣伝、洗脳教育を受けた台湾人は(民進党の政治家を含め)、その事実を知らないできたのだから、いい傾向である。

台湾で最大発行部数を誇る自由時報は七月二十四日、「馬英九政府はなぜ日本に傲慢で中国に恭順」と題した社説を掲載、「斎藤氏の台湾地位未定論は、実は完全に事実であり、完全にサンフランシスコ講和条約の規定に符合している」とした上で、「斎藤氏は真実を話したが、馬政府の報復を受けている。台湾人民は手を縛られたまま、座して死を待つなど許されるか」と書いている。

つまり国民党政府の危険な中国統一路線から台湾を救うには、台湾地位未定論に立たなければならないと訴えているのだ。

■日本大使を支持する社説に国民党は反論するが

この自由時報の社説の正論に国民党が反論しないわけがない。国民党機関紙である中央日報電子版(経営不振で今では電子版しかないが)は翌七月二十五日、「台湾地位未定論を論破する」なる社説を掲載。「誤りだらけの評論で、立論に根拠は毫もなく、さらには歴史真相にも悖っている」と噛み付きながら、「もし一九五一年のサンフランシスコ講和条約に触れるなら、なぜあえて翌年調印の中日和約(日華平和条約)に触れないのか」と責めるのだ。

そしてここで掲げるのが日華平和条約の第十条条文の前半部分。「この条文の内容だけで台湾の帰属問題は十分明らかではないのか」と。

前半部分とは次のようなもの。

「就本約而言,中華民国国民応認為包括依照中華民国在台湾及澎湖所已施行或将来可能施行之法律規章而具有中国国籍之一切台湾及澎湖居民及前属台湾及澎湖之居民及其後裔」

上は中国語正文だが、日本語正文はこうだ。

「この条約の適用上、中華民国の国民には、台湾及び澎湖諸島のすべての住民及び以前にそこの住民であった者並びにそれらの子孫で、台湾及び澎湖諸島において中華民国が現に施行し、又は今後施行する法令によって中国の国籍を有するものを含むものとみなす」

これは条約が適用される際の「中華民国の国民」の定義だ。

中国から台湾へ逃れてきた元もとの「中華民国国民」(中国人)だけでなく、中華民国によって国籍を与えられる台湾人も「中華民国国民」に含まれるとの意味であるが、国民党はこの規定を以って、日本政府も台湾を中華民国の領土と認めたと強調しているのだ。

ところがそれは国民党の法理歪曲、事実捏造である。実はこの第十条こそ、日本政府が台湾を中国(中華民国)の領土と認めていない重要な証拠なのである。

■日華平和条約をあえて誤解釈する国民党は有害だ

日本語版の条文をよく読もう。そこではあくまでも、台湾の住民を「中華民国の国民」と「みなす」となっているのである。つまり台湾は中華民国の領土ではなく、よって台湾の住民も「中華民国の国民」ではないわけだが、「国民と言うことにしておこう」の意味だ。

これについては同条約を巡って中華民国側との交渉を担当した外務省の倭島英二・アジア局長が参議院外務委員会で、第十条は「台湾の人たちの便宜のために設けた」と説明している。

つまり日本国籍を失った台湾住民が日本へ入国すときに国籍なしでは不便であり、中華民国の旅券を持ってくる以上は中華民国国籍の保有者とみなせるように設けたのがこの条文だと言うわけだ。

また倭島氏は同委員会で、「日華平和条約においては中華民国の領土がどこであるとか、中華民国の国民はどこであるとかを決める目的で交渉されたのではない。それらの合意は書いていない」とも言っている。

なお日本語正文の「中国の国籍を有するものを含むものとみなす」は、中国語正文では「含むと認めるべきだ」(応認為包括)となっており、中華民国側の願望が反映され、だいぶニュアンスが異なっている。

だがこの条約で、そうした「解釈の相違がある場合には、英語の本文による」(第十四条)ことになっている。そして英語正文は日本語正文の「含むものとみなす」とほぼ同じく「shall be deemed to include」(含むものと考えなければならない)である。

「もし日本が、台湾が中華民国に帰属することを承認していないのなら、いったい日本は中華民国といかなる外交関係を打ち立てたと言うのだろう」と書く中央日報だが、まったくのでっち上げだ。

中華民国もまた、実際には台湾が自国に属さない事実を踏まえた上で、この条約に締結したのである。

日華平和条約とは台湾地位未定論を覆すものなのではなく、その真実を裏付けるもの以外のなにものでもないのだ。

■中国への配慮で真実を語らない日本政府

ところが上述の通り、戦後日本は台湾の地位は未定との現実にあえて言及しないできた。それどころかその事実を否定する政策に出たのである。

昭和二十七年に施行された法務省の外国人登録などはその象徴だ。

そこでは「中華民国の国籍を有するものとみなす」とされる在日台湾人の国籍は「中国」(中華民国を指す)と記載されたのだが、昭和四十七年の日中国交樹立・日華断交で日本政府の言う「中国」が中華人民共和国を指すことになった際に、法務省は許されざる措置を採ったのだ。

それは在日台湾人の国籍を「中国」のまま変更しなかったことである。かくして彼らの日本における身分は「中華民国の国民とみなす」から「中華人民共和国の国民である」に変わってしまったのだ。

なぜしかるべきものに変更しなかったのか。これについて法務省からは「当時はそれができる雰囲気ではなかった」との話を聞かされたことがある。要するに「台湾は中国の一部」であることを強硬に日本政府に認めさせようとする中国への過剰な配慮があったのである。

これは日本の外国人登録において、中国の政治宣伝が反映されてしまったと言う事態であり、事実より中国の意向を優先すると言う、独立国家としてはあるまじき日本政府の姿勢を象徴するものに他ならなかった。

■外国人登録問題で台湾正名運動が成功

しかし日本の一般国民は外国人登録の問題などに関心もなく、そもそも「台湾は中国の一部」の宣伝に違和感すらし抱いていなかったため、こうしたことは話題にすらならなかった。

だが言うまでもなく、在日台湾人にとっては我慢ならないことだった。そこで平成十三年、在日台湾同郷会が法務省に対して国籍記載を「中国」から「台湾」へ改正することを求める台湾正名運動を開始した。

それは自分たちの人権を守るためだけでなく、「台湾は台湾人の国家だ」とアピールするためのものであり、本国の「中華民国体制」(日本で誤解を招くチャイナ共和国体制)を打倒するための運動でもあった。

我々台湾研究フォーラムも日本人の立場から、それに加わった。その目的には日本の政府・国民に「台湾は中国の一部」ではないと知らせることもあった。

その後、両団体は合同で日本李登輝友の会を結成し、それを台湾正名運動の拠点とした。

そしてこのような抗議運動を受けた法務省は、外国人登録証を廃止して在留カードを導入する際、在日台湾人の国籍も「台湾」と表記することを決め、それを規定する法案が今年七月に可決されたのだ。

【参考】運動目標ついに達成!在日台湾人の国籍が「中国」から「台湾」へ
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-820.html

■九日の祝賀会で日台共闘を誓い合おう

これはささやかなことに見えても、日本における台湾支持の運動の上では一つの前進となった。

そこで八月九日には都内で、「台湾正名運動祝賀会」(主催・日本李登輝友の会)を開くことになった。もちろん「祝賀」と言っても、ただたんに小さな一歩を祝うためだけのものではない。今後運動を更に拡大させるものとしなければならない。

では我々いかなる運動を強化するべきか。

それには現在進行中のNHK解体運動だけでなく、これまで黙々と進めてきた教科書、メディアなどで見られる「台湾入り中国地図」の追放運動がある。

これらすべては法務省の外国人登録の改善運動と同様、事実より中国の意向を優先する国内の空気を打破するための運動と言えよう。

そしてさらには、「台湾の地位未定」の事実を明らかにする運動だ。国民にこれを知らせるとともに、政府に対してこの事実を証言させ、そしてそれを通じて国際社会に事実を知らせ、もって中国の台湾侵略を抑止すると言う運動である。

また日本政府がその事実を証言すると言うことは、それはそのまま日本が正真正銘の主権国家に生まれ変わることを意味するのである。

こう言うのは大げさでも何でもない。中国覇権主義にとって、日本政府がその事実を語り、「台湾は中国の一部」とする宣伝を根底から覆すことは、首相の靖国神社参拝以上に恐ろしいことなのであって、政府がそれを実行に移せば、中国の属国姿勢から脱却し、日本、台湾を含む東アジアの防衛に乗り出すことになるからである。

これからは日本が台湾を守る番であると言うことだ。

台湾正名祝賀会には大勢の親台派日本人や在日台湾人に参加していただきたい。当日は今後の両国共闘を誓い合い、楽しく、盛大に開催する計画だ。また戦略的な観点から日台関係の強化を訴える李登輝氏からも激励のメッセージが寄せられることになっている。

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【案内】台湾正名運動祝賀会(宴会)に参加を!

■日 時:平成21年8月9日(日) 午後1時30分~4時30分(1時開場)

■会 場:文京区民センター 2A
     TEL:              03-3814-6731      
     都営三田線・大江戸線「春日駅」 徒歩1分
     東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」 徒歩3分

■申込み:不要 *この快事をお祝いいただける方ならどなたでもお気軽にどうぞ。

■参加費:立食パーティー代として2,000円(台湾留学生は1,000円)(報道関係は無料)
     
*在日台湾婦女会、劉の店、東京台湾教会、在日台湾同郷会、在日台湾人から台湾料理の協賛あり。
     
*料理、飲み物の持ち込み大歓迎!(料理や飲み物の協賛は受付に)

■主 催:日本李登輝友の会
     〒113-0033 東京都文京区本郷2-36-9 西ビル2A
     TEL:03-3868-2111        FAX:03-3868-2101        
          E-mail:info@ritouki.jp

■協 賛 メルマガ「台湾の声」、在日台湾同郷会、在日台湾婦女会、日本台湾医師連合、台湾研究フォーラム、東京台湾教会

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