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十二月二十三日夜、NHKテレビニュースでアナウンサーがとても嬉しそうな顔
で「次はパンダの話題です」と切り出した。言うまでもなくパンダが台湾に到着
したとの速報だったが、今回の中国によるパンダ贈呈の意図、経緯を考えれば、
断じて笑顔で報道できるような話などではないのである。

中国が送り込んだのは、「トロイの木馬」ならぬ「トロイのパンダ」だ。つまり
台湾の島を吸収するための恐るべき道具である。これを使って台湾国民の中国へ
の警戒心を和らげようとの統一戦線工作の一環でもある。ちなみに統一戦線とは
中国共産党の得意技で、台湾を攻略するために、その内部で味方を作ると言う策
略だ。

台湾と中国の「団円」を意味する「団団」「円円」の名は統一戦線工作の道具か
、との報道も見られた

また国際社会に中国の平和友好的な姿勢を示し、領土拡張という侵略の野心を隠
蔽する目的もある。

それからパンダがワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取
引に関する条約)で、海外への贈呈が禁じられていることも、パンダ贈呈に特別
な戦略的意義をもたらした。これを台湾へ贈り、台湾側にそれを受け取らせるこ
とで、台湾が中国の国内地域であると言う国際宣伝となるからだ。

だから民進党政権時代は、パンダの受け取りを拒否してきた。ところが今年五月
に国民党政権が発足すると、一転して受け入れが決まった。

国民党政権は売台の非難をかわすため、「贈呈」ではなく「交換」と言うスタイ
ルを採用した。一方的にパンダをもらうのではなく、台湾国内の希少動物である
タイワンカモシカ、ハナシカを中国に贈ると言うわけだが、パンダの国内贈呈と
言う事実に何の変わりもないのだ。

このように国民党政権は完全に統一戦線工作にやられ、中国に操られて台湾国民
を騙しているのである。そもそもこのパンダ自体、二〇〇五年に連戦主席(当時
)が中国を訪れ、統一戦線を組んだ記念として贈呈が決まったものだった。

台湾の空港に到着したパンダは外国の元首給の扱いでノンストップで受け入れ先
の台北市動物園へ。それに比べて先日ダライ・ラマ法王は、先日入国の拒否を受
けている。国民党政権のやることは何もかもが中国の「ご意向」通りだ。

ところで「交換」であれ何であれ、もちろんワシントン条約の事務局は「中国国
内の贈呈」と見ている。そもそも同事務局は、そのHPを見てもわかることだが
、台湾を中国の国内地域だと誤って認識しているのだ。

これに関して台湾のテレビ局TVBSが行った世論調査によると、「中国との交
流が正常化した」と考えるのが六割で、「台湾は矮小化されていない」との答え
も六割だった。そして同じく六割が「パンダ歓迎」。五二%が「パンダを見に行
きたい」。

なぜここまで台湾国民は騙されるのか。その大きな理由の一つはマスコミによる
露骨な情報操作だ。この国もマスコミのほとんどは国民党系で、入り込んでいる
のも中国資本。国民党=中国の意に沿った誇大、憶測、捏造報道が二十四時間垂
れ流され、人々から正確な判断力を奪っているのだ。

台湾国民もワシントン条約事務局も、みな中国人に騙されている。世界が嘘を信
じ込ませる中国の催眠術にすっかりやられてしまっていると改めて思い知らされ
た。

一方、上述の調査では、国民党支持者の八九%が「正常な交流」と見ているのに
対し、民進党支持者の五九%は「統一戦線工作の道具」と認識している。「道具
」だとの回答は全体の二二%だ。

中国の平和統一攻勢と国民党の中国傾斜への危機感が高まる中、この数値はきっ
とこれまでの台湾では決して小さなものではないだろう。民進党もパンダ受け入
れ反対キャンペーンを強力に推し進めており、今回の問題が逆に台湾人の目覚め
を促進することも期待される。

「団団」「円円」と言うパンダの名前は中国で公募されたもので「大陸と台湾の
同胞の団円」の願いがこもるとされているが、台湾でも改めて公募しようとのキ
ャンペーンが行われており、「独立」「建国」と言った名前の案も報じられてい
る。動物園は名前を変える気はないと言っているが、そのようなものは勝手にや
ってしまえばいい。ネット上で反統一の意味を込めた名前を決定し、それを定着
させるだけで、中国の意図を防ぐことができるかも知れない。

ここまで台湾人の国家防衛意識が高揚しているのは、窮鼠猫を噛む、つまりそれ
ほど台湾人が中国、国民党に追い詰められていると言うことだ。

もっとも、窮鼠はたいてい猫に喰われる運命だが…。

パンダは敵意を裏に隠す「微笑外交」を象徴している。そこで台湾を愛する国民
は、これからはパンダを中国とその傀儡の悪意のシンボルと宣伝するキャンペー
ンを継続するべきだ。全国民が注目しているのだから、これは中国にとってはチ
ャンスだが、台湾人にとってもチャンスなのである。

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