7月4日、「世界華人保釣連盟」の遊漁船「全家福号」が日本の領海である尖閣諸島海域
を侵犯して主権示威活動を行い、中国の国旗「五星紅旗」を船上で掲げてから海に投げ込
んだ。

 漁船には台湾の「中華保釣協会」の活動家3人のほか船員など計9人が乗船していたと伝
えられるが、海岸巡防署(海上保安庁に相当)の巡視船5隻が伴走し、うち3隻は漁船とと
もに尖閣諸島海域に入っている。

 なぜ台湾・新北市の深澳漁港から出航した船が「五星紅旗」を掲げていたのか──今朝
の産経新聞が「同団体周辺からは『6月中旬に香港で開催された(同連盟の)大会で、五星
紅旗だけを持っていく決議がなされていた』との情報が流れている」と報じている。下記
に紹介したい。

 しかし、全家福号の船籍はどこなのだろう。全家福号が香港に拠点を置く「世界華人保
釣連盟」の所有で、香港の船籍であれば五星紅旗を掲げるのは当然ともいえるのだが、そ
れを伝える報道は見当たらない。

 それ以上に気になるのは、海岸巡防署の巡視船が遊漁船保護を理由に5隻も同行している
ことだ。うち3隻は全家福号とともに領海侵犯し、海上保安庁の巡視船と接触事故を起こし
ている。6月26日にも、海巡署巡視船が「通常任務」として単独航行して尖閣諸島海域を侵
犯したため日本側が抗議している。

 遊漁船なら出漁許可を取って出航しているはずで、それを許可したのは台湾政府とな
る。

 一方、馬英九政権は大変な重荷を背負ってしまった。7月2日、中国国民党の若手のホー
プだった林益世・前行政院秘書長が収賄容疑で逮捕され、政権幹部による汚職事件が今後
の政権運営に影響を与えるのは必至と見られているからだ。馬英九政権としては少しでも
林益世汚職事件から目をそらそうという思惑が働き、全家福号の出航を許可したのではな
いだろうか。中国がよく使う「目くらまし」作戦だ。

 しかし、林益世汚職事件は「林氏の母は『隠していた池から拾い上げた』というびしょ
ぬれの巨額の札束を携えて4日に出頭」したり、「有名テレビ記者である妻の貸金庫には、
多額の現金が詰まっていた」(中央通信社)などの驚きの事実が次々と出てきたため、全
家福号の尖閣侵犯事件の影はかなり薄くなっている。台湾での続報はすでに見られないよ
うだ。

 馬英九政権がこの汚職事件で窮地に立たされることはやはり避けられまい。馬英九が仕
掛けたと見られる「全家福号目くらまし作戦」は失敗に終わったようだ。

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