2012.6.4ms産経より


http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120604/wec12060408000000-n1.htm


 中国は「特許大国」にのぼりつめる一方、偽物が公然と販売される「パクリ天国」という汚名を払拭(ふっしょく)しきれていない。その対象はブランド品からキャラクターグッズまで多岐に及び、日本企業などは対応に苦慮している。模倣品を作る中国企業とあえて提携し、正しい製品を作らせるよう“教育”する企業など、広大なニセモノ市場に対し、さまざまな対応策が展開されている。

被害7割が中国…エンタメ感覚の“ニセモノ市場”

 「まだ模倣品はいくらでもありますよ。売っている本人は模倣品だと絶対に認めませんがね…」

 5月下旬、中国の上海市を訪れ、模倣品の現状について現地の中国人女性に聞くと、顔をしかめてこう答えた。上海市内でも衣類やキャラクターグッズなど多くの模倣品があふれ、現地人のほか、海外からの観光客が購入するケースも多いという。

 「だまされて買う場合もあるが、ニセモノということを面白がって購入する人も多い」。模倣品市場に詳しいある専門家はこう指摘した上で、「恐ろしいことにエンターテインメントとしての“ニセモノ市場”が確立されている」と打ち明ける。

 日本の特許庁が、日本企業8005社を対象に実施したアンケート(回答企業4303社)によると、2010年度に模倣品被害を受けたと回答した企業の割合は21・9%で前年度より2・7%低下。ただ、被害を受けた企業が模倣品を製造されたり、売られたりした国・地域を複数回答で挙げたところ、中国が68%でトップと日本の模倣品が中国に集中している実態が明らかになった。

特許庁の関係者は、中国の模倣品市場を「モグラたたき」と称する。日本は中国政府に摘発を申し入れるなど積極的に働きかけているが、「摘発をどれだけやっても、きりがなくどんどん出てきてしまう。模倣品は今後も拡大する恐れは高い」(関係者)と危機感をあらわにする。

 日本企業にとって、模倣品が市場に流通することで困るのは、企業の信用性やブランド力が低下することだ。関西系のある機械メーカーの幹部は「見た目は恐ろしく精巧にまねられているが、中身の技術はお粗末というケースが多い。これを流されて、自社の製品と勘違いされることが最も怖い」と話す。

 模倣品を作った中国企業を訴えるだけでなく、逆に業務提携し、手を組む戦略を敷く大手バルブメーカーもある。偽物を作った企業に“本物”の作り方を一から教えて、自社の製品を流通させるのが狙い。同社首脳は「中国の模倣品市場と戦うには、右手で握手(提携)、左手はげんこつ(提訴)で立ち向かわないといけない。手段は一つではない」と語る。

 特許大国に成長した今も巧みに模倣品を繰り出す中国。日本の企業も多様な策を講じて、したたかに応戦しなければならないときにきている。

(板東和正)

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