2月21日の「東京新聞」で、米国総局・岩田仲弘記者の
ニュースがわかる「米国の台湾関係法って?」という解説記事に「中国と国交を
結び『台湾は中国の一部』と認めたとはいえ」という記述があるが、これは事実
ではない。

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「Q どうして、そんな法律をつくったのだろう。
 A 中国と国交を結び「台湾は中国の一部」と認めたとはいえ、相手は社会主義
国。米国にとって台湾は日本や韓国と同じく自由主義陣営の一角で非常に重要で
す。中国による台湾への武力行使を防ぎ、西太平洋の軍事バランスを維持する必
要があると判断したことが背景にあります。」
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 米国が中国と国交を結んだとき「台湾は中国の一部」と認めたという事実はな
い。1979年にアメリカ合衆国が中華人民共和国と国交を樹立した際、米国は「中
華人民共和国を中国の唯一の合法政府」と「recognize(承認)」したが、「台湾
は中国の一部である」という中華人民共和国の主張に対しては「recognize」では
なく、「acknowledge(認知)」という別の表現を使っているように、米国は台湾
が中国の一部とは認めていない。

 米国は、台湾の「中華民国」(蒋介石・中国国民党亡命政権)と国交があった
とき、「米華相互防衛条約」を結んでいた。これは中国語で「中美共同防禦條約
」、英語で「Sino-American
Mutual Defense Treaty」という。

 つまり、これは米国と支那(Sino)の防衛条約だった。一方で、米国が中華民
国と断交後に、「台湾関係法」(Taiwan Relations
Act)を台湾当局と結び、実質的な台米軍事協力を維持した。

 この2つの条約の共通点は、米国の利益に基づいて、米国が台湾及び澎湖の防
衛に協力していることだ。「米華相互防衛条約」は、「華」や「中」や「Sino」
と言いながら、防衛範囲に支那大陸が含まれなかった。台湾の蒋介石政権が「中
国」政府を自称していたため、「米華」としたのだが、当時の米国の利益とは、
台湾の共産化を防ぐことであり、「中華民国」の領土を防衛することではなかっ
た。だからこそ、中華民国が1955年に浙江省の大陳島を放棄して撤退したのは米
華相互防衛条約の適用範囲でなかったからだった。

 1979年に米国が中華人民共和国と国交を結び、「米華相互防衛条約」は「台湾
関係法」となった。この際にアメリカは台湾の「中華民国」を「中国」と呼ぶこ
とをやめ、条約(法)の名称も「Sino」(支那)から「Taiwan」(台湾)に正名
した。

 米中国交樹立は、米国が台湾を「中国の一部」と承認したわけではない。むし
ろ、「中国=中華民国」と主張していた蒋介石政権と断交し、台湾が中国でない
ことを明確にしたのだ。米中国交樹立と「台湾関係法」によって、米国は「台湾
政府(台湾統治当局)が中国政府である」という虚構を捨てた。つまり、台湾統
治当局がどれだけ「中華民国」や「中国」と自称しようと、米国は「台湾」と呼
ぶことに決めたのだ。内政不干渉の国際政治の原則で、米国が台湾防衛に必要な
武器を提供しているのは、米国が台湾が中国ではないと認識しているからにほか
ならない。そして、米国は「台湾関係法」で、台湾をほかの主権国家と同等に待
遇することを明記している。

 現代において、台湾が中国を侵攻することはありえないが、中国は台湾の武力
侵攻の可能性を公言している。日本人はこの現実にあまりにも無頓着なのではな
いか。中国が台湾を侵攻する行動を起こそうとしたとき、それを抑止できるのは
沖縄の米軍基地しかない。日本政府はそのときどうするのか。また、日本はどの
ような原則を持って台湾と付き合うのか、それを定める日本版台湾関係法を検討
するときが来ているのではないか。

米国在台協会 台湾関係法(漢文)
http://www.ait.org.tw/zh/about_ait/tra/
米国在台協会 台湾関係法(英文)
http://www.ait.org.tw/en/about_ait/tra/

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