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[平成21年11月18日 衆議院外務委員会]

○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中津川博郷君。

○中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。岡田外務大臣には、公務多忙の中、早朝より御出席いただき、ありがとうございます。大変しばらくぶりでございます。よろしくお願いいたします。

(中略)

次に入りますが、鳩山総理が掲げます東アジア共同体構想について質問をしたいと思います。
鳩山総理は、EU、欧州連合を手本とすると強調しておりますが、EUと東アジア共同体を同列に論ずるということに私は三つの点で疑問を感じる、少し無理かなと思っているところがあるんですが、率直にお伺いしたいと思います。

一つには、EUに参加している国々はすべて、自由、人権、民主、法治といいますか、普遍的な価値観を共有しております。東アジアは、中国を初め共産主義の国もありますし、いろいろな政治体制の国々が点在しているということであります。

二点目に、文明論的な観点から見ても、EUは基本的にキリスト教圏ですね。キリスト教という宗教でもって精神的なものが非常につながっている。しかし、東アジアの場合は、キリスト教もありますが、ヒンズー教もイスラム教も仏教もあり、共通基盤がなかなか見当たらない。精神的なそういう共通基盤が見当たらないという中で共通の事項についてまとめ上げるには、結構これは大変で難しいんじゃないかと思っているのであります。
それから、経済的に見ても、東アジア地域は貧富の差が非常に大きい。ですから、何を共通基盤として、何を基軸にしてこの東アジア共同体を構築していくのか。

ここのところを、私はこの東アジア共同体が正しいとか間違っているとか言っているわけではございませんで、そういう一つ歴史的な、文化的な、経済的な背景を見て、前から少し疑問を持っているところでありますので、これは私以外にもかなりの人たちが思っているところであります。
岡田大臣に、率直にその点をお伺いしたいと思います。

○武正副大臣 お答えをいたします。
まず、東アジア共同体でございますが、これは長期的なビジョンということでございます。貿易、投資、金融、エネルギー、環境、命と文化などの可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力を着実に進めていくことが重要だと考えております。アジア各国との間で、人それから物、金、情報、こうした流れを拡大することが重要であるということであります。

これまでアジア諸国とは十力国一地域とEPAは既に締結をされております。今後も、アジア太平洋諸国を初めとして、世界の国々と幅広い分野を含むEPAの交渉を積極的に推進していく、その中でのこうした流れということになろうかと思います。

○中津川委員 武正副大臣のおっしゃることはもっともで、重要性というのはよく私もわかっていますよ。そんな重要じゃないなんて、これだけ大変なものがあるんだよと。これをどういうふうに考えて、クリアして、そして日本の国益のためにやっていくかということなんですね。
外務大臣にお伺いしたいと思います。

○岡田国務大臣 委員御指摘のように、今のアジアとEUを比べれば、その多様性においてかなり違いがあるということは言えると思います。
ただ、私は、今のEUでも、例えばキリスト教というふうに委員はおっしゃいましたが、プロテスタントとカソリック、この間には宗教戦争を戦ってきた、そういう歴史もあります。それから、もちろんユダヤ教とかイスラム教とか、多様な宗教がEUの中にも個人のベースで見ればあることは事実で、必ずしも一つの価値観でまとまっているわけではなくて、むしろ、多様なものがあり、そういう多様な価値観が共存することにこそ、EUとしての先進性というか、すばらしさがあるんだというふうに基本的には考えております。
ただ、今のアジアと比べたときに、アジアはさらに多様であることは間違いないわけであります。議員御指摘のように、宗教的にも民族的にも、あるいは経済の発展段階においても非常に多様であるということであります。私は、東アジア共同体ということを考えたときに、余り急いではいけない、そしてできることからしっかりやっていくという手法が望ましいと思っております。

EUも、もともとは長く何度も戦争を繰り返してきたフランスとドイツの間で石炭鉄鋼共同体をつくり、そこからスタートしたわけであります。今から五十年以上前のあのときに、今日のEUの姿を想像できた方はまずいらっしゃらないんじゃないかというふうに思います。

したがって、よく東アジア共同体というと、その範囲はとか理念はとか、いろいろ聞かれることはあるんですけれども、余り固定的に考えずに一つの大きなビジョンととらえて、そして目の前にあるできることからしっかりと進めていく、そういう手法でいいのじゃないか、そう考えているところであります。

○中津川委員 今の大臣の御答弁に延長をして膨らまして考えて、次に質問したいんですけれども、台湾ですね。

台湾を私は親台派の議員としてずっとやってきたわけでありますけれども、台湾というのは、確かに日本と国交がありません。しかし、自由と民主と人権を大切にする、もう選挙も行って、日本より早く政権交代をやっていますからね。そして、今、ほかのITとかいろいろなものでは日本より産業が進んでいるんですよ。何よりも日本人的な気持ちを持った、本当に、台湾へ行くと、ああ、僕は日本人なんだな、政治家でいる以上、日本の国をよくしなきゃな、義理と人情を大事にしなきゃだめだな、武士道精神というのを李登輝さんに教えてもらったな、そういう思いをいつも私はするんです。聞いたら、私だけじゃなくて、多くの皆さんたちも行って同じ考えをする。先般も行ってまいりました。

そこで、私は、台湾と日本の経済的なつながり、文化、歴史的なつながり、それから、安全保障上の今非常に大事なところですね。これは地域と答えた外務大臣もいますし、また、今まで国と言った人もおりますが、国交はないし、一応国としては認められていないというようなところですが、東アジア共同体構想の中で、私は、台湾の存在というのは、やはりこれなしには語れないんじゃないかと思っているんですが、大臣、いかがでしょうかね。

○武正副大臣 東アジア共同体構想、先ほど申し上げましたように、長期的なビジョンである、そしてまた、貿易、投資、金融、エネルギー、環境、命と文化などの可能な分野から、開放的で透明性の高い地域協力、これを着実に進めていくことが重要であると申し上げたところであります。

今、台湾についてのお話でございますが、我が国にとって台湾が緊密な関係を有する重要な地域であることは言をまたないところでございます。台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場に変更はありません。その立場を踏まえて、台湾との間でも種々の協力のあり方について検討をしていく考えでございます。

○中津川委員 積極的な答弁だと思いますね、副大臣。
時間が来たんですが、岡田大臣も同じということでよろしいでしょうか、今の考えで(岡田大臣、頷く)。もし何かあったら。ないですか。

今、台湾も国民党政権になって、馬英九になりまして、中国と非常に仲がいいんですよ。日本を外そうとしているのであって、ちょっと日本も入れて、日台中でやったらいいじゃないかと私なんかは思っているんですが、ちょうどそういう折でもありますから、中国の方も緩やかに、その辺のところは前の民進党政権よりもやりやすいと思うんですよ。そんなことを思って、ぜひ、台湾の重要性というものを今副大臣は認識されておりましたが、大臣におかれましてもまた、ひとつそういう認識のもとで、重要な存在だというふうに、日本の国益を考えてやっていただきたいと思います。

岡田外相におかれましては、とにかく我が国外交の先頭に立って、国益のために堂々と御活躍されることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。

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