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出版 並木書房(2006年7月)
著者 林 建良

http://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%88%E3%80%81%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%81%A4%E3%81%8D%E3%81%82%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%8B-%E6%9E%97-%E5%BB%BA%E8%89%AF/dp/4890632018/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1208414945&sr=8-1

第5章 台湾の独立は日本の国益につながる  

   国民党政権の誕生は日本の悪夢の始まり
     
6、日本再生の鍵は台湾独立支持にある

●台湾の法理的独立が中国の崩壊につながる

 もう一つ、核武装と同様にインパクトがあり、日本の安全保障にとっても不可欠なことは、台湾の法理的独立なのだ。

 日本政府は一九五一年のサンフランシスコ平和条約で台湾の主権を放棄したが、その帰属には関与しないという同条約の規定について再度強調すべきなのである。同時に日本政府は、国連憲章にある住民自決権の精神からして、台湾の将来は台湾の住民にのみ決定権があると宣言すべきだ。台湾の住民が台湾を独立国家として建設するなら、日本はこの台湾住民の決定を「理解し、尊重する」と宣言することが、民主主義の精神に合致し、日本の国益にも一致するのである。

 当然、この表明は中国を怒らせることになる。日本国内の親中国派も中国と連携して、日本政府をヒステリックに攻撃するだろう。しかし、これは日本国内にある反日的親中国勢力の存在をあぶり出すことにもなる。長い目でみれば、日本のためになるのだ。

 現に台湾の独立運動に参加している日本人志士の多くは、この危機的状態を察知して、中国の刺激や反発を恐れずに邁進している。彼らは決して親台湾という心情だけでこの運動に参加しているわけではない。彼らは例外なく日本の愛国者でもある。否、日本の愛国者だから、反中国の行動をし、そして台湾の独立運動に参加しているのだ。

 台湾の法理的独立は、間違いなく中国の崩壊につながる。なぜなら、中国はその瞬間に究極的な選択を迫られることになるからだ。戦争を起こすか起こすまいかの選択になるのだ。

 戦争を起こすなら、その時点で中国の沿海地域が戦争地域になり、中国経済は崩壊する。戦争を起こさなければ、中国共産党政権の正当性が疑われる。その結果、軟弱だと思われた政権に牙をむくあらゆる勢力がうごめき出し、中国内部の矛盾も一気に噴出する。戦争を発動しないということは内戦の招来を意味するのである。いずれにしても、中国の現政権が崩壊するきっかけとなるのである。

 
まったく同じ理由で、親中国派からは「だからこそ、そのような事態を避けたいのだ」という声が必ず出てくるだろう。しかし、それは中国崩壊の必然性を読み取れない人たちの声だ。つまり、中国では一党独裁政権が永遠につづくと思う人たちの声なのだ。

 しかし、そのような期待そのものが非現実的だと言わざるを得ない。中国共産党政権は否応なく崩壊する。そのとき、日本はどう対処すべきなのかを考えられる人が真の愛国者である。

●中国の敵は台湾ではなく日本なのだ

 もう一度強調するが、中国の本当の敵は台湾ではなく日本なのだ。

 台湾は中国にとっては獲物であり、アジアに覇権を確立するための不可欠の前進基地なのである。中国はそのため、台湾を無傷で手に入れたいと考えている。中国は、絶対的な力を持つときには躊躇なく武力行使に踏みきる軍事力の信者なのだが、今の中国には台湾を完全に占領できるほどの軍事力はない。しかし、今の日米の姑息な態度や台湾の国内情勢からすれば、台湾を平和的に手に入れることは十分可能だと考えている。このようなときだからこそ、中国の軍事力は飛躍的に増強されつつあるのであり、その結果、日本との軍事的対決もはじめて可能になるのだ。

 台湾は戦略的に重要な地位にあるため、紛争を避けることはできない。そのため、パワーゲームから中立を保とうとしてもできるものではない。つまり台湾は、中国を選ぶか、日米を選ぶか、どちらかの選択しか残されていないのである。

 ここで台湾が民主的な手続きを経て、法理的に独立を図るのであれば、中国は挙兵するだろうが、その瞬間、中国は内外の民主的勢力の包囲によって崩壊させられる。台湾のリスクも高いが、民主陣営の一員として生き残ることができるのである。一方、台湾に親中国政権が誕生することによって、中国と平和的な併合がおこなわれたり、軍事同盟が結ばれたりした場合、台湾は中国の側に立って日米と対決せざるを得なくなる。そのときの台湾はより悲惨な結末を迎えることになるだろう。

 このように、台湾が中国を選ぶか日米を選ぶか、その鍵は、まさに台湾を法理的に独立させるか否かにある。

 独立は危険きわまりないことだと、事なかれ主義の評論家たちは必ず知ったかぶりを言う。しかし、それは中国の本質や歴史の必然性を見抜けない浅薄な見方だ。その陣痛に耐えて乗り越えていかなければ、アジアに平和は訪れない。

●日本も中国の攻撃目標に含まれている

 もちろん、中国も当然その事態を予想している。だからこそ、その前に延命策として台湾侵攻に踏み切ろうとするのだ。

 二〇〇六年三月一九日付の産経新聞の報道によれば、二〇〇六年三月一六日と一七日の二日間、米議会の超党派諮問機関である「米中経済安保調査委員会」が公聴会を開き、米国の軍事・安保専門家らが中国の軍事動向についての分析を報告した。

 公聴会では、遠洋型海軍への転換や弾道・巡航ミサイルの大量配備といった中国の軍備拡張が、台湾統一に向けた戦略の柱であることを多くの専門家が指摘した。とりわけ、中国側が台湾に対して絶対的な優位にある射程三〇〇キロから一七〇〇キロを中心とした弾道ミサイルは、「年間七五から一〇〇基のペース」で増加している状況に、ほぼ全員が懸念を示したという。

 さらに、危機の訪れる時期について、米太平洋軍の統合情報本部で上級分析官を務めたコルテス・クーパー氏(ヒックス・アンド・アソシエーツ東アジア部長)は、「二〇〇八年から二〇一五年の間を心配すべきだ」と語る。中国の新型装備が〇八年ごろ配備を完了するのに対し、ミサイル防衛など米軍の新たな地域抑止力が整うのは一五年ごろと予想されるためだ。

 この間には日本の役割が相対的に高まる一方、米台だけでなく日本も潜在的な中国の攻撃目標に含まれるとの指摘が目立った。国防総省で台湾問題を担当したマーク・ストークス氏(米台エンタープライズ基金会長)は、中国の移動式弾道ミサイルの脅威が沖縄をはじめ在日米軍施設に向けられる可能性をあげた。

●「中国を刺激するな」症候群から脱却せよ

 これでわかるように、いかに用心深く中国を刺激しないように日本や台湾が自制しても、中国が遠慮して台湾を併呑しない、もしくはアジアの覇権を求めないということにはならないのである。つまり、いくらシマウマがライオンを刺激しないように慎ましく身を処しても、ライオンのご馳走にならない保障がないのと同じだ。

 今の日本に必要なのは、「中国を刺激するな」という事なかれ主義から脱却し、自他を防衛できる実力をつけ、中国に対して「日本を刺激するな」という姿勢を見せることなのだ。そのために核武装と台湾独立支持は不可欠なのである。

 もう一度強調する。核武装と台湾独立支持は、日本を再生する最大のエネルギーであり、鍵である。混乱も当然伴ってくるが、国を再生する陣痛は耐え抜く以外にないのである。

(次の連載12月15日)

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